東北大学加齢医学研究所の川島隆太所長は、仙台市内の小中学生7万人を対象に、「スマホの使用と子供の認知機能」を研究されています。
 
この研究は2010年から続けられており、初年度から「スマホを長時間使っている子たちの学力が低い」ことがわかっていました。


次の年度では、スマホだけではなくタブレット、PCを含めたインターネット環境でも同様の結果が出ています。
 
(このコンテンツは雑誌「週刊新潮」2017年5月18日号48~52ページを参考にしています)
 

使い続けると成績は下がり、使っていないと若干上がっていく。
 
途中で使い出すと良かった成績が下がり出す。

 
と結論づけられています。
 
「スマホは子供の成績に悪影響がありそうだ」というイメージは受けますが、その理由となると川島所長いわく

その理由はどこにあるか、しっかりと学問で押さえなきゃいけないんですが、実はできません。
 
というのは、今の生命科学領域の研究で学問にするには動物実験が必要だから、ラットに何らかの刺激を与え、それによって脳の中の遺伝子発現パターンがどう変わったかというデータが取れて初めて、何かが起こって行動に変化が出たんだという解釈ができる。
 
しかし、残念ながら実験動物はスマホをいじらないんですね。

川島所長の研究では、テレビを長時間見る、ゲームを長時間プレイする子供は脳の発達が遅れることもわかっています。
 
スマホと似た悪影響があるわけで、これはいずれの行動にも共通している現象が確認されています。
 
その現象とは
 
スマホ、テレビ、ゲームのいずれでも、脳の前頭葉の働きが抑制されている
 
ことです。
 
これらの活動では、前頭葉の働きはボーッとしている時よりもさらに下がっている状態なのです。

脳トレもゲームなのでは?

しかし、今このコンテンツをご覧になっているあなたは、
 
あれ?でも川島所長って、確かゲームソフトを作ってなかったっけ?」と考えたのではないでしょうか。
 
確かに川島所長は、任天堂DS用のソフト「脳トレ」シリーズを開発されていて、同シリーズは大ヒットしています。
 
ゲームが前頭葉の働きを鈍化させるのなら、川島所長のゲームもNGなのでは?という疑問が起きるのも無理はありません。
 
次のページでは、この点と子供の興味、勉強意欲の関連などについて紹介します。