前ページからの続きです。
「思考の整理学」には、一般的な教育からすると”非常識”と言えそうな主張があります。
その中から「教えない」「寝かせる」件について紹介します。
「教えない」ことが”知りたい”モチベーションを高める
明治大学文学部の斎藤孝教授は、同書の「教えないことの大切さ」に共感しています。
教えないことが、かえって”意味を知りたい”というモチベーションになり、教育効果が上がります。
外山先生が素読の有効性を強調されているのは素晴らしいことです。
かつて日本では、子供に「四書五経」などを素読させていました。「思考の整理学」で外山氏は、漢文の意味を教えないことが大事としています。
それはどういうことなのでしょうか?
意味が気にならないわけがない。しかし、教えてもらえないのだから、しかたがない。我慢する。
その間に、早く意味がわかるようになりたいと思う心がつのる。
問題は”寝かせる”ことで解決することも
外山氏は何かしら問題が起きた時の解決策として”寝かせる”という思考整理法を提唱しています。
人間には医師の力だけではどうにもならないことがある。それは時間が自然のうちに、意識を超えたところで、おちつくところへおちつかせてくれるのである。
つまり、やっかいな問題が発生したら、あれこれ頭を悩ませる前に一晩寝てみるというわけです。
数学者のガウスや科学者のヘルムホルツは、朝目を覚ました時に大きな発見をしたとされています。
京都大学の瀧本哲史客員准教授は、この「寝かせる」手法に共感しています。
今の社会は短期間で答えを出す傾向があるけど、外山先生に「慌てる必要はない」と諭されました。
難しい問題ほど簡単に答えが出ませんが、「いったん放っておくと頭が勝手に考えて答えを出す」という考えに”なるほど”と膝を打った。
新しいアイデアを出すために、「寝させる」という遊びの要素は重要です。
中高年はおしゃべりを 認知症予防にも
ここまでは主に若い人におすすめの思考法でした。
外山氏は、中高年向けの思考整理法として”おしゃべり”を挙げています。
最もいいのはおしゃべりすることです。高齢者が認知症になるきっかけは言語不足です。
ケンカする相手があればボケないけど、独りきりで声を出さないと脳は衰えます。
人間は話す言葉で思考しています。話し言葉を大事にすれば、人間力が高まり、仕事もできるようなる。いろいろな経歴を持つ人たちと集い、話をすることでお互いに刺激しあって、考える力が増す。
そうした経験を土台にすれば、新しい人生だって作れますよ。
20代前後の若い人はもちろん、大人も一読する価値のある本ではないでしょうか。
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