最近は小学生から塾はじめ各種習い事に通う子供は珍しくありません。
「いかに子供に勉強させるか」は、子を持つ親であれば誰でも一度は考えたことがあるはずです。
東大生を育てた親御さんがインタビューなどで「勉強しなさい!と言ったことはありません」と答えることがあります。
(このコンテンツはプレジデント Family2017年秋号56~57ページを参考にしています)
多くの親は「もともと勉強好きな子供さんだったのだろうな」などと考えてしまいますが、自身も東大を卒業しているカリスマ家庭教師・三宅貴之さんはこう語っています。
「私の経験上、勉強が大好きで、放っておいても自分から進んで机に向かう小学生なんて、そうそういるものではありませんよ」
知的好奇心を満たすため、あるいは自分の将来を見据えて勉強する小学生は、まずいません。(いたら逆にコワイですよね・・・)三宅さんによると、小学生の行動基準は
「楽しいか、つまらないか」
「褒められるか、叱られるか」
であり、厄介なことに勉強は基本的につまらないものです。なので子供は放っておけば勉強をしません。
すると親が叱る→子供は叱られたくないので最低限の勉強でお茶を濁し、何かとサボろうとする→親が叱る→子供はイヤイヤ勉強する、というネガティブな循環が生まれてしまいます。
それでは、どうすれば子供が勉強好きになるのでしょうか?
三宅さんが考えるポイントは
ゲーム性と親の協力
です。
その心は・・・
勉強が好きな子、できる子というのは、勉強を点取りゲームとして楽しんでいるだけなんです。僕も小学生時代はそうでした。
決して先天的に頭がいいとか、まじめだとかいうわけではありません。
大切なのは、周囲の大人が勉強にゲーム性を持たせて、楽しんで勉強する習慣を身に付けさせ、さらには学習内容そのものに興味を持たせるよう”仕向る”ことなんです。
これができれば、
ゲーム感覚で楽しむ→褒める→さらに頑張る
という、好循環が生まれます。
小学生にとって、勉強はひとりで取り組めるものではありません。親が子供と一緒に勉強に取り組んで、行動や感動を共有することが大切です。
親には”勉強を教えられる学力・指導力”ではなく、一緒に発見する力、子供を信じて導く力が求められます。
三宅さんが考える、低学年・高学年それぞれで「身につけたい力」三つずつと親ができる役割を以下にまとめます。
◆低学年で身につけたい3つの力
1 作文力
自分の考えを文章としてまとめる力です。日記をつけるのが最も効果的。
ある程度テーマから外れたり、論理が飛躍してしまっても問題ありません。子供が書いたものに対して親は必ず感想を述べたり、日本語の正しさを指導するなどのフィードバックをしましょう。
書かせっぱなしでは子供は継続できません。
2 計算力
単純な四則演算を、当たり前にできるようにしましょう。基本的な計算スピードや正確さは低学年のうちに決まってしまいます。
百マス計算などを、親も一緒にゲーム感覚で楽しみましょう。
親と子供が競争したり、目標タイムや正解数をクリアしたらご褒美シールをあげるなど工夫すれば子供のモチベーションも上がります。
3 約束力
自分の決めた約束は必ず守らねばならないという意識を持たせます。
子供は親に褒められたい、親を悲しませたくないという意識を強く持っています。
親子で相談して目標を設定し、達成できたら大げさに褒め、達成できなければ大げさに悲しみましょう。親の演技力がカギともいえます。
◆高学年で身につけたい3つの力
1 論理力
自分の思ったことだけでなく、相手の意図を読みとる力もつけます。
テーマを与えて作文を書く、賛成・反対に分かれてディベートをする、といった方法が効果的です。
高学年になると、作文は親が添削して、より論理的な文章に改善してあげましょう。
ディベートでは、論点をメモさせたり、賛成・反対の立場を代えて討論するのもおすすめです。
2 言い換え力
高学年で大切なのは課題を正しく把握して、算数の解法で適切に言い換える力です。計算力は必須です。式だけでなく図、表、言葉を使って論理を組み立てる力をつけましょう。
教科書より少し難しい教材を解くのがおすすめです。丸付けや到達度チェックは親の役割です。
3 実行力
「叱られたくない」「褒められたい」という意識から、「よりよい自分になりたい」という意識へのシフトを子供に起こさせたいところ。
親と約束したことはもちろん、自分で宣言したことをやり通す意志の強さを育てましょう。
ただしこの年代では自己客観視が不十分で計画に偏りが出てしまうので、立案までは親と一緒に行いましょう。