前ページからの続きです。
 
元国立市教育長で教育評論家の石井昌浩氏が、英語教育現場の実態を明かします。

今、5、6年生で行われている英語の授業は、担当とALT(外国語指導助手)の2人で進めるのが普通ですが、ALTは人材派遣会社から派遣されるなどしたネイティブ・スピーカーで資格も必要ない。
 
子供を教える訓練も受けていないし、授業の方法も知らない。
 
だから担任に指導力がなければいけないのですが、英語に自信がない素人の先生たちが、罪の意識を抱きながら教えているのが現実で、先生も教えられる子供たちも気の毒です。

江利川教授はこんな経験を語ります。

11年の導入時、先生方の反応は”無理、無理。堪忍してよ”というものでした。
 
今、中学と高校の英語の教員免許を持っている小学校の先生はたった5%。それでも読み書きなら辞書を使えばできますが、音声でやれとなると、40代以上には難しい。
 
ALTと英語で打ち合わせができずに、彼らに丸投げするケースも多く、5、6年の担任だけは嫌だと逃げる先生も少なくない。
 
結果、5、6年は比較的若い先生に任せることになりますが、この年代は思春期に入っていて指導が難しく、経験不足からしばしば学級崩壊が起きてしまう。ひずみが出ています。

早期の英語学習そのものに疑問を呈している識者もいます。
 
東大合格者を多数輩出している中高生向け英語塾「平岡塾」の大町慎浩氏はまずは国語を教育することの重要性を強調しています。

国語ができる子は物事を理詰めでしっかり考えられ、それが外国語学習でも役立ちます。
 
ある風景を描写する際、美しさを表す日本語を”美しい”しか知らない子は、英語も”beautiful”しか使えない。
 
でも、日本語でほかにもいろんな表現を知っている子は、英語にもそれに対応する単語があるだろう、というアプローチができるのです。
 
日本語が曖昧な子は英語も曖昧です。日本語もできないのに英語ができることなど、絶対にありません」

実は管理人は、この大町氏と同じ考えです。小学生くらいの年齢までは、まずは国語をしっかり身につけるべきだと思うのです。
(管理人はそもそも、”グローバル化”に価値を見出していません)
 
英語学習を始めるのは、現在と同じ中学生でも良いという考えです。
 
 
英語学習の早期化が日本人にどのような影響を及ぼすか、注目していく必要がありそうです。
 
あの悪名高い「ゆとり教育」のように、日本人のためにならない教育であれば、中止も含めて適宜対処しなくてはならないでしょう。
 
このコンテンツは雑誌週刊新潮2014年9月4日号46~50ページを参考にしました。