現代人の健康を脅かしている様々な病気の原因のひとつに、バランスの悪い食事があることはおそらく異論がないでしょう。

人間の食の嗜好は、お母さんの胎内にいる間にも左右される、という研究結果があります。


胎児や乳幼児の嗜好研究についての第一人者であるジュリー・メネラ博士によると、子供の嗜好を形作る経験は、子供が食べものを口にする以前の
 
・母の胎内にいる時の羊水
・お母さんから与えられる母乳

 
からすでに始まっているそうです。
 

 
お母さんがいろんな食品を食べると、それらの成分が羊水や母乳にも溶け出すので、子供がそれらに慣れ親しむことになります。
 
すると、実際の食品を口にしたときにすんなり受け入れられるわけです。
 
妊娠中の女性を2グループに分け、一方のグループだけに妊娠中あるいは授乳期間中ににんじんジュースを飲んでもらいました。
 
すると、赤ちゃんの離乳食として与えられた、にんじんフレーバーに対する反応がグループによって違いました。
 
にんじんジュースを飲んでいたお母さんグループの赤ちゃんのほうが、シリアルを食べて嫌そうな顔をする割合が少なかったのです。
 

 
メネラ博士は論文の結論として、

現代社会の大きな問題である肥満や糖尿病、高血圧などの主要な原因のひとつは問題の多い食事であり、それには人生の初期の経験(胎内や授乳期)が影響している。

と述べています。
 
妊娠しているお母さんが野菜や果物などバラエティにとんだ食事をしていると、生まれてきた子供もそれらの食品を抵抗なく食べることが多くなります。
 
お母さんの食事が、生まれてくる子供の食の嗜好を左右するといえるのではないでしょうか。
 
(雑誌「栄養と料理」2015年01月号101ページを参考にしました)